自死に寄り添う傾聴研修「聴き方のお稽古」開催報告
曹洞宗総合研究センターは、令和5年1日21日~22日の2日間、認定NPO法人京都自死自殺相談センターと共催で、自死に寄り添う傾聴研修「聴き方のお稽古」を開催しました。
京都自死自殺相談センターは、曹洞宗総合研究センターも所属する超宗派の研究会である「教団付置研究所懇話会自死問題研究部会」を母体に、主に浄土真宗本願寺派僧侶が中心となって設立された団体です。学問としての自死研究だけではなく、臨床の現場における自死問題に宗教者がどう向き合うかとういう視点で実践的に活動し、現在は宗派・僧俗の枠を超えて、支援活動に取り組んでいます。曹洞宗とは、東日本大震災の際の仮設住宅居宅訪問活動・その実施のための現地支援者養成講座を共催するなど、古くから継続して連携した活動を行ってきました。
今回は自死念慮者に代表される「生きにくさ」を抱える方にどう関わるべきかを、11名の参加者と共に学びました。 死にたい気持ちは状況次第ではだれでも抱き得る感情です。どんな時に死にたい気持ちになるのかを、まずはブレインストーミングで考え、会場の全員と共有しました。経済的な問題や家庭の問題といったものもあれば、遅刻をした時といった些細なケースでも、時としてそのような気持ちになるということを共有しました。 続いて対話の練習として、「ワールドカフェ」を行いました。テーマは「死にたい気持ちの時にどんな態度の人になら話したいと思えるか」です。死にたい気持ちについて想像し、何度かグループを組み替えながら対話をしました。終了時間をついつい忘れてしまうほど全員が集中していました。ワークのまとめとして、自分が関わりたい理想の姿勢を考えました。 午後からは理想の姿勢をもって実際に人の話を聞いてみる「グチのワーク」を行いました。どういう聞き方が良いのか、その聞き方をされてどういう気持ちの変化があったのかに焦点を当てました。 そして1日目の午後から2日目にかけて、ロールプレイを行いました。「死にたい人」の役と「相談を受ける側」の役を交互に体験する中で、実際に死にたい気持ちを抱えた時にどんな気持ちになるのか、どういう言葉かけや反応があると、気持ちにどんな影響があるのか。実体験として学ぶことが出来ました。
今回は対面2日間の研修でしたが、今後はオンラインにて4日間の研修が続きます。 自死の問題に関心を持ち、支援者として関わって頂ける方が一人でも多く育つことを願って、活動を続けて参ります。